参院予算委員会で10月16日、高市総理と全大臣出席の基本的質疑が行われ、同委員会筆頭理事の辻元清美議員に続き、吉川沙織、高木真理、山内佳菜子、熊谷裕人各議員が質問に立ちました。
吉川沙織議員

吉川沙織参院議員は、行政への信頼を支える統計や行政文書の管理、サイバーセキュリティ、予算配分の透明性などについて質問しました。
まず、政策立案の前提となる統計が正確であり、行政文書が適切に作成・管理されていることが重要だと指摘。公的統計は国民の意思決定や政策立案の基盤であり、公文書は民主主義を支えるものだとの考えを示しました。
次に国勢調査の結果をめぐって単身世帯の割合が従来の将来推計より早く上昇している点に触れ、就職氷河期世代が高齢期を迎える際の住まいや生活保護への影響に備える必要性を訴えました。それについて厚労大臣は、生活保護などの将来推計には、収入や資産、世帯構成などを考慮する必要がある一方、推計に必要なデータが十分ではないことが課題だと答弁しました。
相次ぐ不正アクセスをめぐっては、被害件数だけでなく攻撃手法も一元的に把握し、関係機関や企業に共有する仕組みが必要だと主張したことについて、高市総理は、政府と民間の双方について一元的な把握と分析が必要との考えに同意を示し、加えて会計検査院の報告で政府機関の脆弱性対策やログ管理などに不備が指摘されたことを受け、改善状況を確認していると答弁しました。
質疑の後半では、配分基準や給付の対象・金額が不明確なままでは国会が政策の効果を判断できないと指摘。「統計やデータに基づき、制度の基準や財源を明らかにしたうえで国会審議を行うべきだ」と訴えました。
高木真理議員

高木議員は、物価高対策やエネルギー政策、官民ファンドの運営、成長戦略における官民投資などについて政府の見解をただしました。
物価高対策では、食料品の消費税率引き下げと給付による支援のあり方を比較し、給付付き税額控除の実現に向けた政府の考えを確認しました。
また、物価上昇や税収増加の一方で、家計が手取りの増加を実感しにくい状況や、奨学金の返済負担、東京23区の家賃上昇を取り上げ、生活負担への対応をただしました。
ガソリン価格対策では、補助金の持続可能性や出口戦略について質問。再生可能エネルギーの導入拡大に向けた送電網の整備や系統用蓄電池への支援についても確認しました。
官民ファンドをめぐっては、クールジャパン機構の累積損失の要因や責任の所在を質問。さらに、2040年度までに官民合わせて370兆円規模とする投資目標について、効果検証や進捗管理のあり方をただしました。高木議員は、施策の実施状況や成果を把握できるよう、投資を一覧で一元管理し、透明性を確保する必要性を訴えました。
山内佳菜子議員

山内議員は、(1)高額療養費の自己負担上限引き上げ(2)介護職員の処遇改善と2027年度介護報酬改定(3)若者の政治参加――について取り上げ、高市総理をはじめ関係閣僚の見解をただしました。
高額療養費制度について山内議員は、今年8月の自己負担上限引き上げにより、患者の経済的負担が増し、必要な治療を断念することにつながりかねないと問題視。新設された年間上限についても、患者がいったん医療費を支払い、後から払い戻しを受ける仕組みの改善や、申請漏れを防ぐための周知徹底を求めました。
また、制度見直しによる家計や受診への影響を調査・公表し、必要に応じて見直すよう要求。高市総理は「受診行動の変化については丁寧に検証を行っていく」と答え、上野厚生労働大臣も年齢別、疾病別、所得別などの影響を分析する考えを示しました。
介護職員の処遇改善では、賃上げのための加算が最低賃金への対応に吸収され、他産業との賃金格差が縮まらない実態を指摘。月額8.2万円もの格差を示し、総理が掲げる「多職種と遜色のない処遇」の具体的な目標額と達成時期をただしました。総理は、「現時点で示すことは難しい」とする一方、「事業者の経営実態、賃上げの状況を適切に把握しながら検討していく」と応じました。
若者の政治参加をめぐっては、未成年者の選挙運動の一律禁止は「違憲」とする判決(東京地裁9月25日)や被選挙権年齢の引き下げに触れ、若者が政治に参加しやすい法整備を進めるべきだと主張。関連して、衆院議員の定数削減にも言及し、若者や地方などの少数意見の代表性に影響が出るのではないかと指摘しました。山内議員は「今必要なものは削減なのか、それとも本当に信じられる政治をもう一度取り戻すことなのか」と問いかけ、「命を守る政治、生活どまんなかの政治」の実現を目指す決意を述べ、質疑を締めくくりました。
熊谷裕人議員

熊谷議員は、(1)ロシアにおける邦人拘束事案への対応(2)為替動向・金利上昇に伴う経済への影響と消費減税(3)米国産一般流通用生鮮ばれいしょの輸入解禁協議(4)文部科学大臣の政治資金パーティー問題(5)給付型奨学金の予算充実――について取り上げ、高市総理をはじめ関係閣僚の見解をただしました。
熊谷議員は、ロシア当局により新聞社関係者が拘束された事案を取り上げ、対応状況について外務省にただしました。 茂木外務大臣は、ロシア側に事実関係の情報提供や公平・公正な取り扱いを申し入れており、邦人保護に万全を期していると答弁しました。
円安や金利上昇が経済や住宅ローン返済に与える影響について熊谷議員が質問したのに対し、片山財務大臣は、「物価高や金利リスクを意識し、関係省庁と総合的に取り組む」と述べました。また、熊谷議員は消費税減税の効果や、低所得層への支援策について政府の見解をただしました。高市総理は、消費税率引き下げや所得連動給付の重要性を述べ、「関係省庁で連携し、国民に効果を感じていただけるように万全を期してまいりたい」と答弁しました。
米国産一般流通用生鮮ばれいしょの輸入解禁協議について、熊谷議員は国内の種芋農家への影響を質問しました。武部農林水産大臣は、病害虫のリスク管理について科学的知見から議論を行った上で実効性ある対応を検討していくと述べました。さらに、種芋農家の高齢化や労働負荷の軽減、新品種への転換など国生産基盤の強化に向けて支援していく方針を示しました。
関芳弘文部科学大臣の政治資金パーティーにおける不記載問題や議員会館の不適切な使用について熊谷議員が厳しく問いただしました。関文部科学大臣は、「議員会館での開催は行ってはならないと深く反省し、十分注意してまいります」と陳謝しました。
若い世代の負担となっている奨学金制度について、熊谷議員は給付型奨学金の予算充実を求めました。関文部科学大臣は、在学中の利子発生や3%を超える利子を国が負担する仕組みを説明しました。また、高市総理は「給付型奨学金にかかる予算を拡充し、奨学金制度で苦しむ方が困らないように制度の改定を文部科学大臣に指示している」と答弁しました。
