第3章各分野の対応
23 外務・安保
ロシアによるウクライナ侵略の長期化や中東情勢の不安定化など、国際秩序が大きく揺らぎ、世界情勢は一層厳しさを増している。加えて、首相の台湾有事に関する発言をきっかけに日中関係が悪化するなど、東アジアでも緊張が増している。世界的に自国第一主義が台頭するなか、立憲民主党は外交部会、安全保障部会などを頻繁に開催し、日本の外交戦略のあるべき姿について活発な議論を交わした。
10年後の世界情勢を見据えて議論
パレスチナ・ガザ地区で2023年から続くハマス等の武装勢力とイスラエルとの紛争について、立憲民主党は即時停戦や人質の解放などを訴え続けてきた。2025年8月には、パレスチナ国家承認の表明を日本政府に求め、10月にはガザ和平案「第1段階」の合意を歓迎し、日本が和平構築に主体的に貢献することを求めるコメントを発出した。また、外務部門/安全保障部門/外交・安全保障戦略プロジェクトチーム合同会議を開催し、政府や有識者から国際情勢等についてヒアリングするとともに、関連の在日大使や来日中の議員等との意見交換、働きかけなども積極的に行った。
219回臨時国会では、政調体制の刷新により新設された外交・安全保障総合調査会において、10年後の世界情勢を見据えた議論を有識者も交えてほぼ毎週実施した。また、外務・防衛部門合同会議では、政府から国際情勢や外務省、防衛省所管の補正予算等についてヒアリングを行うとともに、政府が提出した「防衛省の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案」に賛成を決め、同法案は可決・成立した。
イラン情勢への対応
2026年2月28日、アメリカとイスラエルがイランを攻撃するという事態が発生した。立憲民主党は、ただちに武力行使の即時停止を求めるコメントを発出した。核開発問題を巡る対話継続中の攻撃であったこと、国家指導者を標的とした攻撃や先制攻撃が国際法上疑義のあることを指摘し、日本政府に対しても、イランのみを問題視する外務大臣談話の姿勢を批判した上で、法の支配に基づく国際秩序を堅持する基本的立場に沿った外交の展開、邦人保護の徹底などを強く求めた。
また、ホルムズ海峡が事実上の封鎖状態となり、ペルシャ湾内に日本関係船舶59隻が滞留し、日本人24名を含む1000名以上の乗組員が危険にさらされる事態が発生した。立憲民主党はこれをいち早く深刻に受け止めて関係者からヒアリングを行い、3党政調会長で官房長官に万全の安全確保を講じるよう申し入れた。
高市首相とトランプ大統領との初の首脳会談直前には、日本の国益を守る観点から、即時停戦とホルムズ海峡の安全確保、エネルギー安定供給への協力、追加関税の対象除外など9項目からなる「日米首脳会談に向けた提言」を3党の代表から官房長官へ手交した。
武器輸出の運用厳格化を提言
政府が防衛装備移転三原則の見直しを検討していることを受け、立憲民主党は3党合同安全保障部会で議論を重ね、憲法の平和主義や国連憲章の遵守の堅持、海洋安全保障分野における限定的見直しの検討、「武器」の完成品移転に伴う国会の重層的関与と厳格審査など8項目からなる提言を取りまとめ、4月13日に官房長官へ申し入れた。
だが、政府は防衛装備移転三原則と運用指針の改定を拙速に閣議決定し、輸出を非戦闘分野の5類型に限定してきた枠組みを撤廃して殺傷能力のある武器輸出も原則可能とした。さらに、輸出の際の国会の関与は文書での事後通知にとどまり、戦闘中の国への輸出も「特段の事情」があれば可能としている。立憲民主党は、武器輸出の基準・運用の厳格化や国会の関与の必要性を訴え続けていく。

ACSA、防衛省設置法改正案に賛成
安保法制との関係から、二国間の物品役務相互提供の決済手続を定める「物品役務相互提供協定(ACSA)」に、立憲民主党はこれまで反対してきた。しかし、221回特別国会に提出されたフィリピン、オランダ、ニュージーランドとのACSAについては賛否様々な意見があった。そのため、参議院での審議を経てから賛否を決定することとし、党独自に外交部会、安全保障部会、外交・安全保障調査会、憲法調査会等の合同会議で慎重に議論を重ねた。わが国を取り巻く厳しい安全保障環境を踏まえると、基本的価値観を共有するミドルパワーの国々との連携の重要性がより高まっていること、ACSA自体は手続法であり、さらに武器は対象から除外されていること、今回協定を結ぶ3カ国とは、存立危機事態を想定した共同計画や運用面の調整について協議を行う計画はないと確認できたことから、常任幹事会の協議を経て本協定に賛成することとした。
また221回特別国会では、防衛省・自衛隊の組織改編や人的基盤の抜本的強化を内容とする「防衛省設置法等の一部を改正する法律案」が重要法案として審議された。立憲民主党は、本法案の改正理由や運用上の課題について質疑するとともに、今後の安全保障はソフトとハードの双方を組み合わせた戦略が必要だとして、ソフトパワーを次期安保三文書にも明確に位置付けるべきだと主張した。また、「新しい戦い方」に向けた防衛力整備のため、防衛費全体の効率化と重点化を求めるなどした。加えて、自民党大会における自衛隊の国歌斉唱問題に関連し、戦後確立された文民統制ルールのさらなる徹底を強く求めつつ、本法案に賛成した。
立憲民主党は、221回特別国会において外務省提出法案2件、条約12件、防衛省提出法案2件のすべてに賛成し、すべての法案が可決・成立、すべての条約が承認された。
国是である非核三原則の堅持を訴え
6月には、年末の安保三文書改定を念頭に置いた核政策に関する国会議員討論会に出席し、①非核三原則の堅持、②核兵器禁止条約へのオブザーバー参加、③ミドルパワー諸国との連携および核軍縮・不拡散体制の維持・堅持という3点を柱とする平和創造外交を推進するとの立場を表明した。さらに、代表や幹事長も記者会見などの場で繰り返し非核三原則の堅持を訴え、非核三原則の見直しや核共有などの議論を進めようとする高市政権や与党の日本維新の会をけん制した。